コンビニ程、上から下まで、つまり金持ちからそうでない人まで、偏差値の高い人から低い人まで、分け隔てなく混在する空間は、コンビニ以外にはないという理由からでした。
コンビニで働き、このような様々なタイプの人々と仕事を通じて接することが、社会に出てからは確実に役に立つと、自身の実体験から仰ってました。
あのひろゆきさん自身も、学生の頃にコンビニで働いた経験があったようですね。
私はひろゆきさんがコメントしてるのを見たとき『確かに…』そう思いました。
しかし、コンビニで働くと、実はもっと深いところまで知ってしまう時があります。
客の人生の一部を知ってしまう時があるのです。
来店時間、来店頻度、髪型や服装の変化、購入するものからコンビニまで足を運ぶ手段まで、様々な視点から、コンビニ店員はその客の人生を創造することができてしまいます。
今回は、コンビニ店員だからこそ見えてしまう、コンビニ店員ならではの面白さをお話させていただこうと思います。
コンビニのバイトはおすすめできる?コンビニバイトはとても良い社会勉強になります!
私はコンビニ(セブンイレブン)バイト歴15年のフリーターです。
夜勤専門で週4~5勤務してます。
この15年間、様々な客たちと接してきました。
コンビニで働いたことのない方には、ご存知ないかもしれませんが、実はコンビニの客の約8割は常連客で新しい客は2割程度となります。
もちろん、オフィス街や観光地など、立地によっても異なると思いますが、住宅街に存在するコンビニの売り上げ支えてるのは間違いなく常連客だ。
毎日のように同じような時間に、同じ客が現れ、必要なものを必要な数だけ買って帰る。
コンビニは、1日平均約1,000人の客が来店する。
住宅立地のコンビニの平均単価は500円~700円なので1日の売り上げは大体60万程度となる。
セブンイレブンやローソン、ファミリーマートなどの大手コンビニの場合、1日60万あれば、まずまず優良な店舗で、50万だと人件費や廃棄を削るなど経費を減らさなくては経営は厳しい。
40万以下になると店存続の危機となり、本部の方で改善計画を立てても売り上げが上がらなければほぼ閉店となる。
余計な話が長くなりましたが、私はそんなコンビニ経営を支える常連客達の波乱万丈な人生をたくさんこの目で見てきました。
“コンビニの仕事とは?…”
私が働く時間は、22時~6時(たまに8時まで)、いわゆる夜勤というやつだ。
週に4回~5回働いてる、自分で言うのも何だがこの店の夜勤の顔だ。
月曜日~金曜日までの平日の客層と、土日祝日の客層は若干異なるが、ほぼほぼ同じ客が同じような時間帯に来店する。
コンビニの客は基本急いでる。
レジに並ぶと、客はすぐに店員を目で探し無言の圧力をかけてくる。
常連客は店員に、あまり同じ質問は好まない。
「お弁当温めますか?」
「お箸はおつけしますか?」
今だと…
「レジ袋は有料ですがご利用ですか?」
私ぐらいになると、客も私の顔を覚えてるので、毎回この質問をしては不愉快にさせてしまう。
つまり、自分で常連客の必要な資材などのニーズを把握しておかなくてはならないのだ。
たばこの客だと、ほぼ顔を見たら銘柄と個数を用意しなければならない。
コンビニはコミュニケーションを好まない客が殆どだが、中には日常会話を求めてくる客もいる。
面倒だが、当然それにも対応しなくてはならない。
酒に酔ってる時は最悪だ…
後ろに客が並んでようが、お構いなしに話しかけてくるので、裁くにはテクニックが必要となる。
不愉快にさせないように会話を切り、間髪入れずに「お次でお待ちのお客様、大変お待たせいたしました!」と次の客に声をかける。
大抵の客は、これで帰ってくれるが、たまにレジの横で客対応が終わるのを待ってる常連客もいる…
私の勤めるコンビニは、深夜の時間帯に雑貨や菓子、ドリンクなどが大量に納品されるので、正直客とゆっくり話してる暇はない。
品出しを裁きながら、常に客の動きをチェックし、レジに並んだら急いでカウンターに向かう。
基本は2人のスタッフでフロアを回すことになるので、2人が同じ動きでこれを繰り返す。
客が並べば、すぐにレジに入るのがオペレーションだが、それを完璧に熟してると夜勤の仕事は中々終わらない…
2人の従業員は、片方がレジ優先、もう片方が品出し優先とある程度は決めてある。
1人目の客が並べば、レジ優先の従業員はすぐに駆け付けるが、並んでる客が2人ぐらいなら、品出し優先の従業員は見て見ぬふりをして品出しを続ける。
背中に並んでる客の視線を感じるが、振り向かずに気が付かないふりをして品出しを進める。
目が合ってしまえば、対応せざる得ないので、これには中々のテクニックが必要となる。
3人目4人目の客が並べば、あたかも今気が付いたような顔でレジに小走りで向かうこととなる。
誤解が無いように申しあげておくが、これは面倒だからではなく、そうしないと、時間内に仕事が終わらないからである。
“常連客の人生がわかる…”
コンビニ店員には、常連客の人生が見えてくる瞬間がある…
今回は、特に印象的な2人の常連客についてお話させていただこうと思う。
1.10代後半~20代前半の女性
彼女が店に来店するようになったのは、最初はおそらく学生の頃だ。
私服で大学生や専門学生らしいスタイルで来店し、早朝の時間帯は恐らく通学前に、夜はラフな格好でよくデザートなどを買いに来てた。
けして派手ではなく、素朴で可愛らしく、ファッションはワンピースが多かったような気がする。
性格はどちらかというと内向的なイメージでした。
コンビニ店員が常連客を覚えるのと一緒で、常連客もまたコンビニ店員の顔を覚えてくれてるようになるのは何となく態度でわかる。
この常連客とは、他の常連客と同様に、必要以上の会話をすることなく、来店すれば目が合い軽く会釈する程度の、そんな店員と客の関係です。
常連客と認識するようになってから、どのくらいの月日が経ったかは流石に覚えてないが、彼女は突然派手な格好をして現れるようになった。
気がつけば、早朝はあまり見かけなくなり、来店する時間は常に夜中の2時~3時頃…
水商売でも始めたのかな…
そんな風に思い始めたある日、彼女が店の前で、乗用車の後部座席から降りてくる姿を目撃した。
黒塗りの車とかではなく普通の乗用車だった。
運転席に目を向けると、若い男性が手を振ってる。
普通なら、彼氏が彼女を家の近くのコンビニまで送り届けたと考えるだろうが、私の見方は違った。
恐らくだが、水商売のキャストを店から自宅近くのコンビニまで送ってくる送迎の車だと思う。
自分の彼女なら後部座席ではなく、恐らく助手席に乗せるだろうし、同じような光景をたまに見かけることから、そのような認識になった。
私の働くコンビニは、隣の駅に繁華街があることも、そう思った理由の1つだ。
この常連客のここまでの人生を創造すると、来店し初めは恐らく大学生か専門学生だったと思う。
数年は学校に通い、卒業したかどうか定かでないが、何かのきっかけで水商売を始めることになる。
見た目が派手でなかった女の子が、いきなり派手な格好になったので、とても印象に残ってる。
しかしこの常連客の話はまだ終わらない…
そんな生活が続いたせいか、スマートなスタイルだった彼女はどんどん太ってくる…
彼女は毎晩、夜中の2時や3時に来店しては、かつ丼やらカップラーメンやら、さらにはデザートまで、ガッツリと食料品を買って帰る。
彼女は日に日に太っていった…
そんなことは気にも留めず、彼女の買い物カゴは常に一杯で、弁当やらパンやらデザートやら…
私の想像では、ストレスからかカロリーなどは気にせず食べたいものを食べる、そこそこ稼ぐので金銭感覚も麻痺してる、そんな感覚の買い方に感じた。
学生時代の彼女は、朝食は常にホットドックとコーヒーで300円を超えることはほぼ無かった…
可愛らしかった当時のイメージはなくなり、気が付いたころには派手な格好で来ることもなくなった。
常にジャージにサンダルのようなだらしない格好で来店する様になり、酷い時は夜中に2、3回来店することもあった。
それから暫くして、今度はまた私服で来店するようになった。
派手な格好で来店してた時と一緒で、2時~3時頃だが、あの時と違うのはラフな私服であること。
ただ化粧は、またあの時のように濃い。
しかも、たまに送迎の車で現れる…
恐らく職種が変わったのだろうと感じた。
前職は恐らくキャバクラの類、何かしらの理由で辞めてから少し休んだが、金が無くなったのか、始めた仕事は恐らく風俗関係ではないかと思う…
水商売は繋がってて、キャバクラから風俗のような流れはよくあるケースだと、これもまた水商売関係の常連客から聞いたことがあった。
誤解がないように申し上げておくが、私は彼女を注視してみてたわけでもなければ、もちろん好意があったわけでもない。
来店を待っていたわけでもなく、来たら互いに会釈をするまではいかないが、そんな程度の常連客と店員の関係である。
しかし週に4回~5回も、さらには1日複数回も来店すると、やはり覚えてしまうし気になるものだ。
これはコンビニ店員のあるあるだと思う。
彼女についてもう1つ気になることがある…
左手首に包帯を巻いてたのだ…
そして今夜もまた、彼女は来店するだろう…
2.20代~30代の不思議な雰囲気の男性客
髪型は肩に掛かるかかからないかのロン毛。
細身で常に淡い色のシャツと黒のスーツスタイル。
カバンなどは一切持たず、いつも手ぶらだ…
よほど近くに住んでるのか、雨が降ってても傘はささずに来店する。
何となくだが仕事帰りという感じはしなかった。
ビシッとしたイメージではないが、ロン毛に常にスーツスタイルなので、印象に残る常連客だった。
この常連客は私の働く深夜帯に毎日来店し、弁当、お菓子、飲み物(ソフトドリンク)を買って帰る。
タバコやアルコール類を購入することは一切ない。
この男性客と後で繋がっていく、もう1人の常連客についても触れておこう。
60代~70代程度で小柄な年配の女性は、常に買い物かご目一杯買い物して帰る。
毎日ではないが、2日~3日に1回程度の頻度で来店し、まるでスーパーのように買い物カゴに目いっぱい、食料品や日用品、雑貨を買って帰る。
1回あたりの会計で4,000円~5,000円程度の買い物をする客は、たばこのカートン買いでもなければ、1日の勤務で1回あるかないかだ。
余談だが、東日本大震災があってから、このような生活弱者、いわゆる高齢者のまとめ買い客は増えたような気がする…
自転車で来店するこの女性客は、足腰があまり強くなく、買い物カゴをいっぱいにすると、私に目で合図をしてくる。
買い物が終わったから、重い買い物カゴをレジまで運んでほしい合図だ。
私も他の仕事をしながらも、この客が来店すると、常に買い物の進捗には目を配り、終わった頃に目を合わせるようにしてる。
私が目いっぱいになった買い物カゴを、レジまで運び会計を始める。
この客は、資材(箸やスプーン)を一切要求しないことから、私もあえて声はかけずにレジ袋につめる。
レジ袋は有料だが、これも声はかけずに常に2、3用意する。
会計を済ませたら、もう1つ仕事が残ってる。
外に止めてある自転車のカゴの後ろと前に、買い物した商品を運転中に落ちないように、しっかりとゴムで止めてあげなければならない。
このような行為は、一度やってしまうと、常に求められる事になるが、私はさほど苦にはならないので実行してる。
自分で言うのも何だが、高齢者などの生活弱者にとって、私のような気配りは、とてもありがたいことだと思う。
しかしこの客と私との間にも、ほぼ会話はない。
常連客の中には会話好きの客もいれば、親切にすれば、飲み物などを一緒に会計して差し入れしてくれる客もいるが、この客はそのような行為は一切ないし、私もそれを期待してやってるわけではない。
ある日、この2人の客が店内でたまたま一緒になる。
何か会話をしてたので少し気になった…
どうやらこの2人は親子だったようだ。
母親の方の反応で、偶然であることもわかった。
しかし、この時は特に気にする事はなかった。
2人の常連客が実は親子だったという、たったそれだけの話だ。
それから暫くして、この男性客が店に来なくなる…
特に気に留めることもなかったが、母親の常連客に1つの変化があった。
それは来店の度に、宅急便で荷物を送るようになったのだ。
さほど気にはしてなかったが、あまりにも毎回だったので、ある日の買い物の際にふと、送り状に記載のある宛名が目に入った。
宅急便の受付は、宛名までは見ないが、郵便番号や住所、日時指定があればそれをレジでの受付の際に入力しなければならない。
この時は、何故かふと宛名にも目がいったのだ…
東京拘置所…
私の中で何かが繋がった気がした…
そういえば暫くあの男性客(息子)が来てないな…
私も長くこの仕事をしてるが、客のこういったことをあまり気にする事はないが、ある日の夜、たまたまオーナーと事務所で話す機会があったので、ふとこの話をしてみた。
するとオーナーは理由を知ってた。
彼は、覚せい剤で警察に捕まったらしいのだ。
警察から何度か買い物時の行動を、防犯ビデオで見せてほしいと要望があったようだ。
オーナー曰く、このようなことはよくあるらしい。
警察いわく、犯罪を犯す前の容疑者の行動として、犯行前にコンビニに立ち寄ることはよくあることらしい…
近くで傷害事件があったときも、容疑者は犯行前にうちのコンビニに寄ってたらしく、警察が防犯カメラの確認に来たらしい。
容疑者の証言から、犯行前にコンビニに寄ってたことがわかった捜査官は、その男の入店から退店までくまなくチェックし、何か怪しい行動がないか、さらには映像を全てコピーして持ち帰るらしい。
ハサミやカッター、ナイフなど、凶器になりえるものを購入してないかが特に重要で、これで犯行が計画的であったか、突発的な犯行だったのか、コンビニの防犯カメラがきっかけで、容疑者の起訴内容が変わることもあるらしい…
警察は絶対に事件について話してくれないらしいが、オーナーがスマホで調べて「この事件?」って聞くと、その時の捜査官の反応で、それが正解かどうかは、ある程度わかるらしい。
つまり警察にとって、捜査上コンビニの防犯ビデオは、かなり需要な証拠に繋がることも多いらしい。
彼が収容されてることがわかってからも、当然私の母親に対する態度が変わることもなく、何時もと同じように接客を続けた。
ただ何となくだが、宅急便の品名だけが気になったのか「衣類」と書いてあったことだけは覚えてる。
その後、何ヵ月、何年後かは覚えてないが、彼がまた、私の働くコンビニに現れるようになる。
服装はあの時と一緒で、黒ジャケットに淡い色のシャツスタイルのままだった。
カバンもあの時と同じように持ってない。
ただ、頭はロン毛ではなくなり、5分刈り程度の坊主頭になっていて、それが割とよく似合ってた。
買うものも以前と一緒で、彼にしてみれば、たかがよく行くコンビニの店員が、自分に起きた一連の出来事を知ってるとは思いもよらなかっただろう。
彼の態度が以前と全く変わらないのがその証拠で、客は何か不信感があると暫く来なくなるからだ。
例えば、駐車場でサインポールに車を擦ってしまったガテン系の常連客…
お釣りを誤って多く返してしまった、毎日食パンを買いに来る常連客も、その罪悪感からか、しばらく来店しなくなった…
その後、彼と母親が店内で一緒になることは、少なくとも私の勤務時間ではなかったが、彼と彼の母親の行動は、刑務所に入る前と何も変わりはない…
この記事のまとめ
改めて申し上げるが、人の人生に全く興味はない。
たかがコンビニ店員だが、衣食住には困らず、好きなことをして生きてるので、特に不満もないし、それなりにプライドを持って働いてるつもりだ。
自分で言うのもなんだが、私のことを気にいって来店してくれる常連客も多い。
コンビニ店員という職業が、買う物やその行動から、その常連客の人生が見えてしまう、そんな職業であるのだろうと思う。
今回は、特に印象に残ってる2人の常連客についてお話ししたが、同じように人生が想像できる常連客は他にもまだたくさんいるし、私自身も今まで様々な経験をしたことも付け加えておこう。
コンビニ店員はとても勉強になる…
特に夜勤をやると、不思議な経験はよくある…